鳥はさえずり私は本を読む。

お勧めしたくてたまらない大好きな本だけを。

美味しい読み物たまにはたっぷり味わって?

食エッセイにはまっている。

…とTwitterでもぽろぽろとご報告していたが、

いかにも、その通り。

美味しそうな描写に夢中である。

 

 

なんともいい匂いが漂ってきそうなエピソードにじゅるりとよだれを拭ってスーパーへ。

今日は生姜をメインに何か作るぞ…!

と意気込んで生姜焼きに生姜スープ、生姜ミルクを作った。

 

 

 

 

 

 

平松洋子阿川佐和子

ここで手に取ったのが、小説家 江國香織

食べ物にまつわるエッセイ。

 

 

 

 

 

やわらかなレタス (文春文庫)

やわらかなレタス (文春文庫)

 

 

 

 

なるほど食べ物の姿が脳裏に鮮明に現れ

唾液腺を刺激することは勿論、

さすがは小説家、江國香織の世界観がまるっと映し出されている。

 

 

 

 

 

少し切なかったり、少し暖かかったりするのは

食べること以外にもこのエッセイには

ひとや家族が優しいことばで描かれているからだろう。

 

 

 

 

 

家族を描いたこんなひとシーンがすごく印象的で好きだ。

 

 

 

 

 

 

私たちの不文律は徐々に父と母にも浸透し、夜中に四人でフランスパンをたべたこともあった。コーヒーも紅茶も入れず、ワインの栓を抜いたりもせず、台所の調理台を囲むように立って、なんとなく厳かな気持ちで。

こういうとき、母はしばしば笑い出した。

 

 

 

 

筆者とその妹は、

フランスパンを好きが故に、フランスパンはその日のうちに食べなければならないという不文律をつくりあげていたというエピソードの中のひとこま。

 

 

 

 

 

調理台を囲んでパンを頬張る家族が見えるようで、その情景の中の両親は笑っていて、姉妹も楽しそうにパンを分け合う。

なんともあたたかな気持ちになる。

 

 

 

 

 

江國香織が食べ物、食べることを通して見ていた世界とは。描き出してくれたものとは?

是非、読んでほかほかごはんを食べた時のような満足感を。

 

 

 

 

 

 

やわらかなレタス、というタイトルは

あの名作いたずらこうさぎの出てくる絵本にちなんでいるようで、また素敵。

 

 

 

 

 

…なんの絵本だったか?

きちんと本の中に書いてあるので、ご安心あれ。

 

身近と共感に惹きつけられる小説の秘密はファミリーマート

“身近さ”とは不思議なものだ。

 

 

 

途端に小説世界の中へ私を誘い込み、

友達の話を聞いているかのような

妙にリアルな映画を見ているかのような

そんな気持ちになる。

 

 

 

 

文章の中で突然身近さにつつまれる瞬間…

その条件にほんの最近気がついた。

 

 

 

 

なんだ、そんなことかと思われるかもしれないが、それは「具体的な固有名詞」が登場するとき、なのだ。

例えば、コンビニエンスストア、じゃなくてファミリーマート、とかさ。

 

 

 

もちろん、ストーリーが身近に感じられる一番の所以は作家さんの筆力であることは言うまでもないが、よくなじんだお店の名前なんかを目にすると、ぐっとその身近さが増すように私は感じてならない。

 

 

 

 

 

映画が話題になった角田光代さんのこの小説を読んでいて、ふ、とそんなことを考えたのだ。

 

 

 

愛がなんだ (角川文庫)

愛がなんだ (角川文庫)

 

 

 

 

合コンで知り合った“マモちゃん”に首ったけなテルコは、いつまで経っても恋人にしてもらえないのに淡い期待(濃ゆい期待)を持ち続け、次第に自分の生活ペースを犠牲にするようになる。

 

 

 

 

大それたことが起こるでもなく、

淡々と溺れてゆくテルコの姿が丁寧に描かれていて、マモちゃんも素晴らしいくらいに得体が知れない。

 

 

 

 

 

こういう男にハマったが最後、

もう底なし沼なんだよなーっと 

物語全体が共感を求めてくるようで、あっさり乗っかった。

 

 

 

 

ファミリーマートの店内は、涼しくて、通りにひとけはまったくないのにそこそこ混んでいてほっとした。キャミソール姿の女の子と、秋物のニットを着た女の子が雑誌コーナーで立ち読みをしている。    

 

 

そこにこんな文章で。

あれっ、私の過去を回想してるんだっかと思うほど突然身近に感じてくるから不思議。

 

 

 

 

 

コンビニ、とだけ言われるより

あの緑とホワイトの看板や、たらりらたりーらたりらりらー♪といつもご機嫌に流れるあの音楽なんかがイメージされるとグッとリアルだ。

 

 

 

 

 

夢中でページをめくった。

テルコのマモちゃんへの愛の答えも知りたかった。本物か?はたまた熱にほだされているのか?

 

 

 

 

 

 

愛がなんだ。

 

 

 

 

 

 

テルコとマモちゃんの関係は

愛とは別次元にあったのかな。

好きだから、なんだか分からないけど心の底から好きだから、愛なんて関係ない。   

 

 

 

 

 

 

なんとなく懐かしいような

ほろ苦いようなそんな気持ちになって、

ああこの本が好きだな、と思った。

身近さを感じられて嬉しくも思った。

 

 

 

 

 

前回の記事に書いたアフターダークも、

ちょくちょく固有名詞が登場する。

リアルさ、身近さ、生々しさのようなものを感じられて読み終えた後夜景を見たくなった。

 

 

 

 

 

 

あの光の1つに、

マリやコオロギたちがいるんだろうな、って

なんの違和感もなく思えたから。

 

 

 

 

 

 

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)

 

 

 

 

愛がなんだ、も

アフターダーク

どちらも自信を持っておすすめする小説。

 

 

 

秋の始まりのお供に、ぜひ。

 

 

 

 

固有名詞が入ると急に身近さが色濃くなる、

なんて独り言でした。

 

 

 

 

 

 

味わって欲しい夜明け感、万人ウケしないと分かっていつつ。

夜明けは、特別な時間だ。

段々と空が白み始め小鳥のさえずりが聞こえ始めると、ああ、また1日が始まるな、と。

 

 

夜明け、を書いた小説をご存知だろうか?

 

 

今回は、私が人生の中で1番

読み返しているんじゃないかと思う小説を取り上げた。  

 

 

 

 

 

 

 

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)

 

 

 

 

繁華街の真夜中近いファミリーレストランで時を過ごす19歳の少女マリと、自室で眠り続けるマリの姉。

彼女は単純に睡眠をとっているわけではなく、なんらかの理由で深く、もう長い間眠り続けている。

 

 

この2つの視点を起点に物語は展開してゆく。

日没後(アフターダーク)から夜が明けるまでの時間を描いた作品である。

 

 

マリは、夜を通して様々な人と出会う。

バンドマンの青年、元プロレスラーでラブホテルの店員や、従業員たち、中国人の少女。

 

 

19歳の少女とは、混沌の象徴だ。

自分の19歳を思い返しても然り、常にもやもやと色々なことに頭を悩ませ、世の中の動きに敏感に心を震わせていた。

マリ自身もまた、混沌を胸に抱えている。

自分のこと、姉のこと。   

 

 

そしてこの小説に登場する誰もが、

同じ立場にいる。

 

 

真夜中という時間に、

それぞれの人生がほんの少しだけ絡み合い、それぞれが答えの出ない問いに、納得、という答えを出す。

 

 

それは辛いわけじゃない、ねえそうやってさ、みんな生きてくんだよね?

そう語りかけてくれる。

 

 

世の中にはね、1人でしかできんこともあるし、2人でしかできんこともあるんよ。それをうまいこと組み合わせていくのが大事なんや。   

 

 

だから、私はこの小説に真夜中よりも〝夜明け〟を見る。

読み終わった後しっかりとはじまりを感じることができる。

 

 

さて、

私がこの小説を読んでほしい理由は実は他にもあった。

 

 

至極個人的な好みかもしれないが、真夜中前から夜明けを描いているため、章ごとに時計のイラストが描かれ、時間を追っていく。

これが何とも素敵なので是非チェックしていただきたいところ…!

 

 

 

 

また、これまで村上春樹の小説を避けてきた方や何となく苦手だった方にも是非読んでみていただきたい。

 

 

アフターダークは、

過激な表現もなく長さも文庫本にして300ページと程よいので手に取りやすい。

しかし、村上春樹の文章の美しさは据え置きなので、本筋はもちろんそちらも是非楽しんで欲しい。

 

 

 

 

 

 

読み終えた後の、

夜明けに差し掛かった瞬間のようなすっきりとした気持ちを私は、あなたにも味わってみて欲しいのです!!

 

 

 

 

 

(ちなみに、私のブログのなまえも、徹夜で読書したら朝が来ちゃった〜。もう鳥が鳴いてるよあーあ!って言う夜明けを表現してるんですよ、実は!笑)

お盆の旅と、終わりとはじまり

全くイメージのできないものを

形にして、ぐいぐいと問いかけ訴えかけてくる物語にあなたはどんな感情を抱くだろうか?

 

 

世界に終わりなんて来ない

 

 

あと3年で世界が終わりを迎えるとしたら?

あなたはどうしますか。

自分の人生にどうやって納得しますか? 

伊坂幸太郎はこの物語を通して容赦なく問いかけを投げかけてくる。

 

 

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)

 

 

 

 

終末、とあるように終末のフールは

3年後に地球の終末を迎える世界を描いている。

小惑星が地球に向かい、3年後に衝突し、その衝撃によって全てが破壊されると言うのだ。 

世の中は混乱し、人々は奪い合いをする。

 

 

こういった類の質問に、

大概の人は最後まで答えを出せない。

もちろん私もその1人だ。

実際の3年後はおそらくいつものようにパンを齧って、あくびなんかして、生活が続いていくのだから。

どうせ世界、おわんないしなーと、いつも途中で匙を投げる。

 

〝丸付け〟がいつも快感だった

 

 

短編として編まれる終末のフールの

それぞれの物語では誰もが答えの出ない問いに対峙した。

そして、皆、きちんと答えを出す。

あるいは初めからそこにあった結論との答え合わせ、なのかもしれなかったり。

 

 

そして、必ず答え合わせの先に、正解とか、小さな暖かさを感じることができるから、この小説は素敵なのだ。

 

 

誰もが後ろ向きな世の中で、前を向く。

例えば、混乱した人々の暴動により両親を亡くした少女は父が集めた本を全て読みきった後、

新しい恋人を探して歩き出す。

 

 

現状にあーだこーだ言うより

何でもいいから新しいものに向かって前を向く方がいい。

 

 

それって、

こんな時代を歩む私たちにも言えることだよねって何となく勇気付けられる。

 

 

猛暑が続きます。

涼しく冷えた部屋で、サイダーなんて飲みながら、あなただけの答え合わせを是非してみてください。

 

 

(私は、旅先で読み切り、温泉でひとりしみじみと感動を噛みしめました♪)

 

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岐阜を、巡りました。

良い夏休みを…!

いつだって、本と共に。

あなたは本を読むことが好きですか?

私は、本を読むことがすごく好きです。

また本という、物質物体そのものが大好き。

本の香り、手触り、ページを繰る音…

その上に差す午後の日差しも好き。

 

 

はじめまして。kanaと申します。 

 

 

わたしの紹介

 

⚪︎20代前半の女性

⚪︎本と猫とはちみつを溶かした牛乳が大好物

⚪︎普段はコンサルタントとして働いています

⚪︎本と文章を書くことのほかに、寺社仏閣巡り 

   と絵画鑑賞も好き

⚪︎関西弁を話します 

⚪︎ドイツ語と英語も少し話します

⚪︎おしゃれをすることも趣味のひとつ 

⚪︎ほかにもたくさんありますが、

   これから私の選ぶ本とともに私のこともたく

   さん知って頂ければ幸いです♡

 

よろしくお願いします。

 

 

こっそり、教えたい秘密を詰めこんで…

 

子供の頃からすごく本を読む子どもでした。

赤毛のアン、少女ポリアンナ、宝島、海底二万マイル

 

 

すてきな世界を発見するたびに、

誰かに共有したい!

だけど自分だけの秘密にしておきたい。

そんな気持ちでいっぱいでした。

 

 

けれど大人になった今、

そんな気持ちを未だ持ちつつも

たくさんの人にすてきだった本を、その世界を感じてもらいたい!!

そんなふうに思うようになりました。

 

 

当ブログでは、

私が読んで体験してみて、本当に心動かされた大好きな本だけを扱います。

 

 

私の大好きな本が、あなたにも届きますように。

 

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