鳥はさえずり私は本を読む。

お勧めしたくてたまらない大好きな本だけを。

味わって欲しい夜明け感、万人ウケしないと分かっていつつ。

夜明けは、特別な時間だ。

段々と空が白み始め小鳥のさえずりが聞こえ始めると、ああ、また1日が始まるな、と。

 

 

夜明け、を書いた小説をご存知だろうか?

 

 

今回は、私が人生の中で1番

読み返しているんじゃないかと思う小説を取り上げた。  

 

 

 

 

 

 

 

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)

 

 

 

 

繁華街の真夜中近いファミリーレストランで時を過ごす19歳の少女マリと、自室で眠り続けるマリの姉。

彼女は単純に睡眠をとっているわけではなく、なんらかの理由で深く、もう長い間眠り続けている。

 

 

この2つの視点を起点に物語は展開してゆく。

日没後(アフターダーク)から夜が明けるまでの時間を描いた作品である。

 

 

マリは、夜を通して様々な人と出会う。

バンドマンの青年、元プロレスラーでラブホテルの店員や、従業員たち、中国人の少女。

 

 

19歳の少女とは、混沌の象徴だ。

自分の19歳を思い返しても然り、常にもやもやと色々なことに頭を悩ませ、世の中の動きに敏感に心を震わせていた。

マリ自身もまた、混沌を胸に抱えている。

自分のこと、姉のこと。   

 

 

そしてこの小説に登場する誰もが、

同じ立場にいる。

 

 

真夜中という時間に、

それぞれの人生がほんの少しだけ絡み合い、それぞれが答えの出ない問いに、納得、という答えを出す。

 

 

それは辛いわけじゃない、ねえそうやってさ、みんな生きてくんだよね?

そう語りかけてくれる。

 

 

世の中にはね、1人でしかできんこともあるし、2人でしかできんこともあるんよ。それをうまいこと組み合わせていくのが大事なんや。   

 

 

だから、私はこの小説に真夜中よりも〝夜明け〟を見る。

読み終わった後しっかりとはじまりを感じることができる。

 

 

さて、

私がこの小説を読んでほしい理由は実は他にもあった。

 

 

至極個人的な好みかもしれないが、真夜中前から夜明けを描いているため、章ごとに時計のイラストが描かれ、時間を追っていく。

これが何とも素敵なので是非チェックしていただきたいところ…!

 

 

 

 

また、これまで村上春樹の小説を避けてきた方や何となく苦手だった方にも是非読んでみていただきたい。

 

 

アフターダークは、

過激な表現もなく長さも文庫本にして300ページと程よいので手に取りやすい。

しかし、村上春樹の文章の美しさは据え置きなので、本筋はもちろんそちらも是非楽しんで欲しい。

 

 

 

 

 

 

読み終えた後の、

夜明けに差し掛かった瞬間のようなすっきりとした気持ちを私は、あなたにも味わってみて欲しいのです!!

 

 

 

 

 

(ちなみに、私のブログのなまえも、徹夜で読書したら朝が来ちゃった〜。もう鳥が鳴いてるよあーあ!って言う夜明けを表現してるんですよ、実は!笑)